【#07】18AW COLLECTIONの着想源に触れて

Sellenatelaにまつわる様々なストーリーをお伝えしていく「STORIES」。半年以上ぶりの更新となってしまいましたが、今回は18AWコレクションのインスピレーションソースについてのお話です。

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エットレ・ソットサスの作品に惹かれて

18AWコレクションのシーズンテーマは「mixture (混合物)」。イタリア人のインダストリアルデザイナー/建築家 Ettore Sottsass(エットレ・ソットサス)の作品からインスピレーションを得て制作されたコレクションです。エットレ・ソットサスは、1950年代後半から40年に渡りイタリア・オリベッティ社のコンピューターやタイプライター、オフィス家具など数多くの商品をデザインしてきました。

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Source: ART INSTITVTE CHICAGO
https://www.artic.edu/artworks/233227?search_no=1&index=2


また、1981年、64歳になったソットサスは、多国籍な若手デザイナーらとともに「メンフィス」と呼ばれるデザイナー集団を結成し、発色鮮やかで有機的な、奇抜で刺激的な家具コレクションを発表し、後世に多大な影響を残しました。

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Source: Wikipedia
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Memphis-Milano_Design_Collection.jpg#mw-jump-to-license


Sellenatelaのデザイナー、榎本がソットサスの作品と出会ったのは、サンフランシスコ州立大学の大学院でインダストリアルデザインを学んでいた頃でした。メンフィス・グループがデザインをした家具コレクションを初めて見たときに、色や形に対しての自由な発想と表現に衝撃を受けました。

それから10年が経ち、18AWコレクションの制作をはじめた昨年の秋頃にふと目にとまったソットサスの作品。この自由な空気を、このシーズンで取り入れたいと感じ、エットレ・ソットサスをインスピレーション元とし「mixture」というテーマでコレクションをつくることを決めました。

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Source: SOMEWHERE TOKYO
http://somewheretokyo.com/ettoresottsass_index_jp.html


普段から異素材の組み合わせやカラーコンビネーションを織り交ぜた構築的なデザインを好んで採用している榎本ですが、18AWコレクションは更に挑戦をし、新しい組合せを意識したデザインをしています。


LOU LOU

LOULOU

18AWシーズンを代表するデザインの一つ、レースアップシューズの「LOU LOU(ルル)」。

榎本が学生時代を過ごしたサンフランシスコのヴィンテージストアで見つけた、ポインテッドトゥのレースアップシューズのつま先の形や艶感をイメージしながらデザインした一足です。

アッパーのフロント部分にはスムースレザーやパイソン型押しレザーを、踵部分にはサテン生地を、ヒールにはエナメルレザーを使用した異素材の組合せがポイントです。

ファーストサンプルでは全く違う素材を選んでいたのですが、いかに挑戦的なデザインにするかを考えて修正を重ねました。

LOULOU

1stサンプルの写真
フロント部分はスエード、踵とヒールはエナメルという組合せ


特にエットレ・ソットサスの作品を着想源としたカラーコンビネーション、ラベンダー×ピーコックグリーンは、シーズンのメインヴィジュアルにもなったアイコニックな1足です。

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18AWコレクション メインヴィジュアル


SHANNON

18AWシーズンもう一つの代表作は、ストレッチ生地とレザーを組み合わせたショートブーツ「SHANNON(シャノン)」。グラフィカルな形の真っ白なヒールが可愛いモードなデザインです。

SHANNON

エッジをたたせたスクエアトゥの木型に、アシンメトリーに切り替えられた素材の組合せ。ストレッチの生地と同色のエナメルレザーでバックジップの周りをトリミング。構築的でありながらも、上品さのある今シーズン大人気の1足です。

SHANNON

1stサンプルの写真
スムースレザーとストレッチ生地の組合せ


サンプルはバックジップの周りをフロント部分と同じスムースレザーでトリミングしていましが、パンチが足りないと、最終的には光沢感のあるエナメルを使用しました。

SHANNON


シーズンヴィジュアル

毎シーズン、テーマを表現するために制作しているシーズンヴィジュアル。今回は「mixture」というテーマを表現するために、カラーフィルムやアクリルなどの小道具を使って撮影をしています。

VISUAL

コレクションの着想源に触れて

18AWコレクションを代表する2つのデザインをご紹介した今回のSTORIES。

榎本の靴作りの裏側には、彼女のバックグラウンドであるグラフィックデザインやインダストリアルデザインが大きな影響を及ぼしています。

アーティストやデザイナーから着想を得てSellenatelaらしいデザインの靴をつくりだす。そこには純粋に、良いアーティストやデザイナーに敬意を払い、Sellenatelaを通してアートやカルチャーに触れる楽しみを共有できたら、という榎本の思いがあります。

ファッションアイテムの一つとしてだけでなく、一つ一つのコレクション、1足1足のシューズに基づくストーリーもお楽しみいただけますと幸いです。

 

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