【#02】Making of Shoes - Manufacturer <1/2>
Sellenatelaの靴をお持ちの方、かかとの上部のあたりを見てみてください。目立たないけれど、小さな”穴”が空いていませんか?
実はこの穴、ハンドメイドで作られているという証。「釣り込み」という作業を行う際に、職人が釘を使って木型に靴を固定した名残なのです。
Sellenatelaの靴は全て、日本の靴職人の手で作られています。革靴作りは東京・台東区の地場産業の一つであり、日本の革靴工場の多くが東京の下町、浅草近隣地域にあります。
Sellenatelaの靴作りに欠かせない靴メーカー
こちらは荒川区・東日暮里にある靴メーカー、株式会社アポロさん。Sellenatelaの靴作りに欠かせないメーカーの一つです。
分業化が徹底されている日本の靴業界。各資材(靴の材料)や工程毎に扱う会社が分かれていて、実はとても複雑。 こちらのアポロさんでは、靴の企画から製造までをワンストップで行っています。 今回はアポロさんのご厚意により、企画から製造まで、靴作りにまつわる全ての工程を取材させていただきました。 普段はなかなか見ることの出来ない靴作りの裏側をご紹介します。
まずは靴作りの工程から。
1. 企画
Sellenatelaでは、デザイナーの榎本がシーズンテーマを考え、デザイン画を描いていきます。デザインが決定したら、「木型」と呼ばれる靴の原型となる型を決めるのですが、この段階からクリエイションの強い味方となってくれるのが、メーカーの企画の方々。
榎本が頭に思い描いた靴のカタチをどうやって現実に形づくっていくのか、毎シーズン親身になって相談に乗ってくださいます。
アポロのSellenatela担当、湯澤さん。毎シーズン、榎本が思い描くデザインを一緒に形にしてくださる心強い味方。無理難題にも前向きに応えてくださいます。
どんな木型にするのかは、靴のフォルムはもちろんのこと、履きやすさやフィットを左右するので、とても大切な工程です。
2. 紙型
木型が決定したら、デザイナー榎本が描いたデザイン画を基に企画担当(パタンナー)が紙型(パターン)を起こします。紙型づくりは複雑な作業で、まず木型にテープを貼り、その上に靴のラインを書いていきます。
そして、ラインに沿ってテープをカットしながら剥がし、パーツごとに平面に落とし込んでいくという、平面から立体へ、立体から平面へと変換していく作業なのです。
靴は紙型ひとつ取っても、パーツの数がとても多く、1足の靴を作るだけでも、
- アッパー型(靴の外側の部分)
- 裏革型(靴の内側、服で言うと裏地の部分)
- 中敷型(靴の中敷き部分)
- 中底型(普段は見えない靴の底の部分)
- 本底型(地面と設置する部分)
と、5つもの紙型が必要。かつ、それらをサイズ毎に揃えなくてはいけないので、大変な作業……!
3. 裁断
紙型を元に”抜き型”と呼ばれる金型を作り、裁断機でアッパーや裏革を裁断していきます。こちらの作業は裁断専門の、“裁断屋さん”が担当することも。
サイズ別に用意された抜き型。
こちらが裁断機。
上から数回に分けて圧を掛けて、裁断していきます。
裁断機を使うのは量産の時のみで、サンプルを作る時は、裁断機を使わずに、一つ一つ手で裁断していきます。
4. 製甲
裁断をしたアッパーと裏革をミシンで縫い合わせて形にしていきます。こちらの作業も、製甲専門の”製甲屋さん”が担当する場合も。
日本の靴メーカーの中でも、若いスタッフを精力的に雇っているというアポロさん。ベテランの職人と肩を並べて働く若い職人の姿が目立ちます。
糸や機械などが並べられた工場内。黙々と作業が進められていきます。
5. パーツ製作
ヒールに革を巻いたり、中底の上に中敷を貼った時に少し見える部分(中底巻き) に革を巻くなど、靴の各パーツを作っていきます。
製作中の17AW COLLECTIONの新作、HELENA【SILVER】やHELENA【REDDISH BROWN】も発見!
こちらは中底巻きが完了した、HELENA【SILVER】の中底。縁の部分がシルバーの革で巻かれているのがわかりますか? 普段はこの革巻きをした部分以外、中敷と本底の間に隠れてしまう部分なので、なかなかお目にかかる機会が無いパーツです。
各工程、専門の職人さんの手によって、丁寧に作業が進められていきます。
工場内には、靴作りには欠かせない木型があちこちに。
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